実録 現場奮闘記 岩手③ いつか来る希望編

こんにちは。

倉持建設工業、東京オフィスの山﨑です。


年末、工程を練り直した結果、僕らは工事が5月までかかると予測し、元請け会社の日本の担当者に話をしていました。

5月までならなんとかなる。

僕らがそう思って迎えた年明けです。

提出した工程表を見たイタリア人(イケメン)が言いました。


「ちょっと意味わかんない」


意味わかんないのは僕だ。

聞いていた話では、ABC工区があり、BC工区が3月までに終わっていればなんとかなるという話でした。しかし、イタリア人(イケメン)が言うには、3末までには全部終わらないとだめだというのです。


顔がよければ何でも許されると思ってんじゃねーぞ。


とは言え、元請け会社の要望なので、みんなで再び工程会議です。

論理的な議論から導き出した結論は、積雪が極めて少ない条件で、みんなが死ぬ気でがんばれば、ワンチャンなんとかなるんじゃないか、というものでした。

まったく論理的ではなかった。

まぁぶっちゃけた話、一日30mで見込んでいた掘削を50mに見直そうという話になりました。元請けも豪雪であれば出資者である銀行に言い訳も立つというので、ひとまずそれで工程をまとめました。


ぎりぎり3/24に終わる工程でした。


ここで少し、公道の埋設工事について説明しておきます。

当然ながら、既存のアスファルトを撤去する必要があるので、まず①道路にカッターを入れていく作業、から始まります。カッターはカッター汚泥がかなり出るので、汚泥の溜め場と運搬の仕組みを確立するのも大事です。

次に②アスファルトをめくり、③アスファルトガラを搬出し、④路盤を掘削し、⑤電線管とアース線、光ケーブルを埋設し、⑥土と砕石を運んできて埋め戻し、⑦仮舗装する、というのが大まかな流れになります。

カッターを入れるのは、専門業者さんを専務が連れてきて、みんなで頑張って3日で終わらせました。

ここまで割と、和気あいあいと仕事をしていました。

本当の地獄はここから始まったのです。


②アスファルトめくり 1名

③ガラの搬出 1名

④路盤の掘削 1名

⑤電線管等の敷設 2名

⑥埋め戻し 1名


これらの作業は同時並行で行われます。

最低限、この6人+手元1人+管理者1人が必要なわけです。

で、僕らの人数はと言えば、僕と専務を入れて8人でした。

言ってることはわかりますね。

全員スタメンでベンチなし。

最近は高校球児でも球数制限があるというのに、僕らはまったく休みなく全力で仕事をしていながら毎日残業でした。

なにせ、掘った分は復旧までしてしまわないといけないので、「疲れたから、今日はここまでにして寝ようぜ」というわけにはいかないのです。

午後10時くらいまで作業していると、イタリア人から電話がかかってきたことがありました。


「みんなでご飯食べてるんだけど、来る?」


こっちは規制帯伸ばしてんだよっ!

暗いんだよっ!

寒いんだよっ!

手の感覚とかもうねぇんだよっ!


とにかくがむしゃらに働きました。

でも僕らは思っていました。

雪だ。

雪が降れば休める。

この時点で工期はずいぶん前倒しにできていました。

みんなの作業効率は上がり、チームの一体感も出てきていました。

雪だ。

雪が降れば休める。

僕らはそう思っていたんです。

そう思っていたんですが。

僕らに待ち受けていたのは。。。。



記録的な暖冬だったのです。


(続く)


(2020年1月8日撮影。このくらいは降りました。降った内には入らないそうです。)

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