言葉で人は変えられない。でも、一縷の望みを頼りに、僕らは今日も口を開く

こんにちは。
倉持建設工業、東京オフィスの山﨑です。


大学のときの話です。
当時、僕は1回生だったんですが、4回生の先輩と仲が良くて一緒に遊んだりしていました。
Oさんという男性の先輩と、Aさんという女性の先輩に可愛がられていたのですが、ある時、僕はA先輩と付き合うことになりました。
僕は、O先輩がちょっとだけA先輩を好きなことを知っていました。
知っていて、A先輩と付き合い始めました。
A先輩にとってO先輩は、手間のかかる弟みたいなもので、きっと異性としては見ていない、そんな感じだろうと、僕は思っていました。

ある夜、O先輩が僕の家を訪ねてきました。
お酒を飲めないのに、ウィスキーのボトルを持ってきて。
冬の日でした。
こたつを出していたのを覚えています。
二人でいろいろな話をしました。
O先輩はダンスが好きだったので、ダンスの話をたくさん聞きました。
ダンスで食べていく夢があるのだとも聞きました。
O先輩は、実は2年留年していて、大学をやめてダンスの道に進もうと思っている、とO先輩は言っていました。
僕は、応援します、と言ったと思います。
翌朝笑顔でO先輩は帰っていきました。

でもその日、O先輩は首を吊って自殺しました。

あんなに衝撃的だったのに、思い出は色あせて、もうほとんど記憶に残っていません。
十数年前の話です。
でも今でもはっきりと覚えているのは、はにかむようなO先輩の表情です。
夢を語るO先輩は、照れくさそうにしていました。

当時は何か僕にできたんじゃないかと思い悩んだものです。
でも大人になった今ならわかります。
言葉で人は変えられない。
自分以外の人間は、皆自分か、それ以上の尊厳を持っています。
人に何かを言われたくらいで、変えられるものではありません。

それでも、その事件は、僕の心の中でいつまでも燻っている心残りです。
今なら僕は、あの最後の夜に、Oさんに何というのでしょうか?
僕は今でも、ウィスキーが苦手です。

東京オフィスからは以上です。

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