脱炭素って何なの?って思った時に読む話

こんにちは。

倉持建設工業、東京オフィスの山﨑です。



菅首相は所信表明演説で、「我が国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことをここに宣言する」として、2050年までに脱炭素を達成するという意欲的な目標を発表して注目を集めました。

ところで、脱炭素って何だっけ?そういうあなたのために、今日は世界的な脱炭素の流れについて説明したいと思います。

まず用語を整理しましょう。


脱炭素

二酸化炭素を排出するとよくないというのは、皆さんなんとなく解ると思います。温室効果ガスなどとも呼ばれますが、地球温暖化の原因の大きな部分が、人間の活動によって生じた二酸化炭素の急増にあるという説が、少なくとも世界中でコンセンサスを得ています。

二酸化炭素減らさなきゃ。でもどうやって?

まずカーボンフットプリント(炭素足跡)というものを作り、自分がどのくらいCO2を排出しているかを客観的に把握します。そしてそれを目標を定めて徐々に減らしていき(低炭素)、最終的にカーボンゼロの脱炭素社会に持っていこうというのが脱炭素の趣旨です。


カーボンニュートラル

カーボンニュートラルとは、Wikipediaによれば、「何かを生産したり、一連の人為的活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量である、という概念」です。

なるほどわからん。

小学校の理科の時間に習った、光合成で考えてみましょう。

植物は太陽光のエネルギーを利用して、大気中の炭素を取り込んで身体を作ります(炭素固定)。この植物を燃やすと二酸化炭素が出ますが、それはもともと大気中にあったものなので、二酸化炭素を増加させたことにはなりません。

これをカーボンニュートラル(炭素中立)と言います。

これが厳密な定義ですが、経済の世界ではカーボンニュートラルは次のカーボンオフセットの意味で使われることが多いです。

※菅さんが間違っているのではなく、この辺の用語は世界中で結構ごちゃごちゃです。他にゼロカーボンとかカーボンフリーとかネットゼロとか言ったりしますが同じ意味で使われています。統一してほしいです。


カーボンオフセット


Wikipediaによれば、「人間の経済活動や生活などを通して『ある場所』で排出された二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業(排出権購入)による削減活動によって「他の場所」で直接的、間接的に吸収しようとする考え方や活動の総称である」

なるほどわからん。

例えばA社とB社があるとして、A社は年間300万t、B社は年間200万tのCO2を排出しますが、B社は太陽光発電所を所有していて、年間500万tのCo2に相当する発電を行っているとします。

この時、A社は300万tのカーボンポジティブ(増炭素)で、B社は300万tのカーボンネガティブ(減炭素)です。

A社はカーボンオフセットしたいので、B社から300万t分のCO2排出権を購入して自社が出した分のCo2を相殺します。

すると市場ではB社の評価が上がるので、B社の株価が上がり、A社の株価が下がります。

これが今アメリカやEU圏で実際に起こっていることです。

環境への投資は、別に慈善事業ではなく、企業にとっては喫緊の課題なのです。


各国の脱炭素宣言

米国 ▶ カリフォルニア州 2045年までに達成

     ハワイ州 2045年までに達成

     ワシントン州 2045年までに達成

EU ▶ 2050年までに達成

中国 ▶ 2060年までに達成

日本 ▶ 2050年までに達成


日本が2050年を打ち出したことで、ゲームが面白くなってきました。背景には、次に示すGAFAからの圧力があると思います。


GAFAの脱炭素の状況


Google ▶ 2030年までに達成

Apple ▶ 既に達成。2030年までに、サプライチェーンと製品についても達成。

Facebook ▶ 既に達成。2030年前にバリューチェーン全体で達成。

Amazon ▶ 自社使用エネルギーは2030年までに達成。

       出荷、配送に関しては、2030年前に50%、2040年までに100%達成。


GAFA恐るべし、です。

例えばAppleとの取引が多いSONYや東芝などの企業は、2030年までには自社も脱炭素してないとAppleと取引できないことになります。

ヤマト運輸や佐川急便なども、Amazonの荷物の配送を続けるためには、2040年までに100%脱炭素しなくてはいけません。


それでこれから何が起きるの?

前もどこかで話しましたが、僕はLinkedInというアプリで結構採用情報が流れてきます。最近まじかっと思った以下のような採用情報がありました(原文は英語)。


再生可能エネルギーマネージャー - アジア太平洋地域

勤務地:東京

アマゾンでは、2040年までに炭素ゼロを達成するという目標の一環として、2025年までに100%再生可能エネルギーに向けた進捗を加速させるために、再生可能エネルギーの契約や分析の経験をお持ちで、世界規模の持続可能な組織をともに目指す、再生可能エネルギーマネージャーを募集しています。

  

とりあえずAmazonは僕を採用したらいいと思うのですが

#びっくりするくらい適任

募集条件の中に気になる文章がありました。

- アジア太平洋地域でのPPA交渉の構築経験5年以上、または大規模プロジェクトの再生可能エネルギープロジェクトへの投資経験(30MW以上)


PPA!?

PPAとは、Power Purchase Agreementと言って、電力購入契約のことですが、Amazonはこれを日本でやるのか。

つまり、Amazonは東京電力から電力を購入するのではなく、クリーンエネルギーを持つ発電事業者と直接電力購買契約を結ぶつもりです。

日本はようやくFITが終わるくらいで、はっきり言って2歩も3歩も先の手ですが、Amazonはこれをやるつもりのようです。

以前紹介したように、NTTは独自の再エネ系統を整備するのに1兆円投資するそうですが、この流れを読んでいたのでしょう。

#あるいは知っていた


2020年はコロナによって振り回された年でした。2021年は、また違った意味で振り回されそうですね。


東京オフィスからは以上です。

コメント