茨城県補完計画 第壱話 襲来、大井川知事


2005年、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス、いわゆるつくばエクスプレス(TX)の開通は、茨城県の運命を変えたハード面の大きな変化でした。多くの反対意見(インフラ投資に見合わない、絶対に成功しないなどなど)を覆し、TX沿線では膨大な開発行為が行われ今もその開発は続いています。

そして、2017年。茨城県においてソフト面の重要な変革が人知れず起こりました。大井川知事の誕生です。

大井川和彦。

茨城県土浦市出身であり、旧通産省で初代シンガポール事務所長を務め、マイクロソフトやニコニコ動画のドワンゴなどのIT企業で役員を勤めてきた異色の茨城人が、知事として戻ってきたのです。

茨城県市長会や茨城県町村会、連合茨城、茨城県医師連盟、茨城県歯科医師連盟等の、守旧派がすべて現職の知事の応援に回る中、「新しい茨城」を掲げた新人候補が、24年間にわかり茨城を支配してきた守旧派を打ち破った瞬間でした。新人が現職知事を破るのは、茨城では58年ぶりのことでした。

知事就任後の大井川氏は矢継ぎ早に改革を断行。

2018年4月に県庁の決裁事務の電子決裁化を指示し、同7月には99.1%の電子決裁化を達成しました。これには大井川は所詮自民党の傀儡と侮っていた多くの県職員が震え上がったと言います。

事実、大井川知事は議会や会議等々で、発言をしなかったり話題に参加してこない参加者に対して、退出を命じるそうです!

.....まぁ、民間企業では当然っちゃあ当然なのですが、とにかく県庁の雰囲気をがらりと変えたそうです。

大井川知事はプレジデントオンラインの記事で、記者に対してこう答えています。


つくば市の高いブランド力、潜在力を生かして、今後は「つくばバレー」と呼ばれ、世界中の起業家があこがれて集まってくるような場所に育てたい。ひたちなか市も元気のいい企業が多く、新しいことにチャレンジしようという起業家マインドの旺盛な人が多いと思う。茨城から新しい産業が興るように仕掛けたい。

たとえばマイクロソフト時代に知り合ったインドのベンチャーキャピタリストと連携できないかと考えています。県内の企業とインドの企業を結びつけるとか、最初から世界市場をにらんで研究開発を進めるとか。


いまだかつてこんなことを話す首長が存在したでしょうか?これこそが現在茨城県で起きているソフト面の圧倒的な変化の背景にあります。

茨城県について、これ以上の交通インフラ投資は難しいでしょう。しかしながら、TXと圏央道が県西・県南を東京と強力に結びつけたことは、ハード面ではすでに十分な恩恵があるはずです。しかしながら、その効果は十分に現れているとは言えません。

例えば、令和2年の公示地価は東京都の平均坪単価383万7852円に対して、神奈川県が84万6634円、埼玉県が53万4448円、千葉県が42万2876円ですが、茨城県はなんと11万5615円で全国43位です。それより下には冬季の土地利用が難しい東北の県しかありません。

茨城県の平均坪単価は、東京のわずか3%なのです。

これに悲観する必要はありません。今後も首都圏への人口への流入は止まらないでしょう。コロナで一時的に東京の人口は(やや)減っていますが、それは埼玉などの首都圏内に居住地が変わっただけで、依然多くの日本人が東京に職場や学業の場を求めていることには変わりません。

茨城県は東京都と接してはいませんが、東京から150km範囲ということであれば、十分に射程にはいる素晴らしい立地です。

TXで東京とつくばがつながり、総生産でも人口でも、つくばが水戸を追い抜いたこのとき、県知事が大井川氏となったことはおそらく偶然ではありません。

県民がそれを望み、実現できたことは、茨城県にまだ可能性が残っていることの証左です。

茨城県には大きなポテンシャルがあります。

茨城県のポテンシャルを十分に発揮するためには、まずは茨城県の実情をしっかりと把握しなければなりません。

そのために、我々が絶対に読み込まなければならないものがあります。

それが、「茨城県総合計画」なのです。。。

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