茨城県補完計画 第参話 学園都市つくば


日本の人口は減少しています。

2010年ころにピークを付け、そこから年0.3%程度のペースで、ゆっくりと、しかし確実に日本人は減っていっています。

経済学では、人口増加と経済成長率には強い相関関係があると言われています。人口が増えている地域ほど経済の伸びしろが大きいということです。

高度成長期とは、日本の人口爆発が引き起こしたものだとデービッド・アトキンソン氏などが主張していて、合理的だと思います。


では茨城はどうでしょうか?当然ながら茨城県の人口も減り続けています。

茨城県の人口のピークは国よりもやや早い2000年。人口は約300万人でした。政府の予測では2045年には223万人まで落ち込むと言われています。77万人減です。

県庁所在地である水戸市も例外ではありません。

現在が人口のピークであると考えられていて、2045年の予測は約30万人減の約24万人。

東京を除くすべての地域では長期的には人口減は避けられないと考えられる中、茨城県も非常に厳しい状況に置かれています。


そんな中、現在でも人口の増加が続き、2045年においても微減が予測されている自治体があります。

それが、つくば市です。

つくば市の現在の人口は23万人ですが、2035年にはなんと24.7万人まで増えてピークアウトします。2045年には24.2万人となってしまいますが、ピークから微減に収まっています。水戸市の人口が減少するため、2045年には、つくば市の人口が茨城県の自治体の中でもっとも大きくなります。


どうしてつくば市だけが人口を増やしていけるのでしょうか?実は同じ傾向にあるのはつくば市だけではありません。守谷市やつくばみらい市も同様の傾向にあります。これらの自治体の共通点はなんでしょうか?

それは誰が考えてもつくばエクスプレス線(TX)ということになるでしょう。


TXの開通によって、茨城県の片田舎であったつくばが、日本最大の研究大学機関である筑波大学を擁する唯一無二の自治体として、東京圏と接続できるようになりました。今は信じられないと思いますが、かつて筑波大学に行こうと思えば、常総線で土浦まで行き、そこからバスに乗らなくてはいけなかったのです。

開通まで、絶対に採算が取れないと言われ、守旧派からバッシングを受け続けてきたTXですが、現在のつくば地域の発展を見れば、圏央道とTXは、正に茨城県の未来を変えるターニングポイントだったことがわかります。

読者の中につくば駅や、研究学園駅に行ったことがある人はいるでしょうか?申し訳ないのですが、水戸市や土浦市とは比較にならないほど洗練された近代都市の趣があります。

もちろん土浦市や水戸市の景観が好きだ、新しい都市には歴史がない、という意見もあると思いますし、それはそのとおりだと思いますが、若い、意欲と才能のある人材がどこで自分の人生を試したいと思うかは、自明であると思ってしまいます。

そんなつくば市はスーパーシティ構想に名乗りを上げました。これは世界中で流行しつつあるスマートシティの日本版特区政策で、日本では特に高齢化対応などの色合いが強いのですが、もしもつくば市のスーパーシティ化が実現すれば、つくば地域とそれ以外の地域の差は、もはや覆すことができなくなるでしょう。


スーパーシティ、つまりデジタルによる社会問題の解決にうってつけの、とんでもない人物が、筑波大学にいるからです。

その怪物の名を、落合陽一と言います。

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