停滞は変化よりもずっと怖い

こんにちは。

倉持建設工業、六本木オフィスの山崎です。




前回少し気の重い話をしました。

新年早々気の利かないやつです。

今日は何か明るい話でもしようと思ったのですが、またまた気の重い話をしなくてはいけなくなりました。


ついにインフレがやってきます。


いや、もうだまされないぜ。そんなこと言って、物価なんか全然上昇してねーじゃねーか。日銀があんなにじゃぶじゃぶ金入れたのに、2%の物価上昇なんて全然怒らなかったじゃねーか、と皆さん反論されることと思います。

8年前に黒田さんが日銀総裁になったとき、物価上昇率が2%になるまで異次元の金融緩和を断行すると言いだしたとき、やべー、これハイパーインフレになるやつだわ、やばいやつだわ、と言っていたのは私です。

それから実際に何が起きたかというと、日銀は当時の僕ですら想像できなかったほどの大胆な金融緩和を行い、物価は…上がりませんでした。

足元の消費者物価指数は0.5%で、金融緩和を始めたときから全然変わっていません。


えー、じゃあやっぱりインフレなんか来ないじゃんと思うかもしれません。

ところがどっこい、物価高はすでに起き始めています。

実は足元の消費者物価指数の0.5%という数字には、前政権が断行した携帯電話料金の引き下げ効果、1.5%分が含まれていると考えられています。つまり、仮に携帯電話料金が引き下げられなかった仮想の日本においては、消費者物価指数は2%を上回っていたと考えられます。

いやいやそんなの仮定の話でしょ?起きてもないことを言ってもしょうがないでしょ?


わかりました。

今起きていることを言いますね。

消費者物価指数とは別に、企業物価指数という数字があります。企業の調達コストですね。この数字、直近の数字が9%をつけて話題になりました。

9%という数字は、オイルショック以来の数字だそうです。

企業の調達コストの上昇は、必ず消費者に跳ね返ってきます。何せ、企業だって何かを買って、加工したりして売っているわけですからね。

この物価上昇は世界的な状況で、アメリカでも欧州でも中国でも起きています。原因は様々ありますが、もっとも大きな要因はグリーンフレーションと最近呼ばれる、脱炭素への移行にともなうコストの転嫁です。

これまで格安の火力発電所でエネルギーを作っていたのが、こんなのダサいぜ、地球のためにエネルギーをグリーン電源に変えようぜ、という投資が欧州を中心にコロナ禍で巻き起こり、世界中で一大グリーン電力ブームがやってきました。

石炭火力発電所への投資には大手銀行は出資を中止し、すでに融資が決まっていたものまで覆されるようになりました。

グリーン電力はDXと密接にかかわります。何と言ってもテクノロジーなしで脱炭素など不可能ですからね。世界中で半導体が不足しているのは、物流の混乱という文脈で語られがちですが、DXが進めば進むほど半導体の供給は需要を満たさなくなるでしょう。

グリーンフレーションの流れは変えられません。

地球を守るために、我々が負担するコストだと説明されるでしょう。


また円安が進んでいることも日本には厳しいインフレの原因となります。ともすればほとんどの物品を海外から仕入れている日本という国では、為替で円が安くなることは家計に直撃します。

ほぼ100%を輸入に頼る、ガソリン価格が上昇するからです。ガソリン価格が上昇すれば、運送も、農業も、漁業も、すべての価格が上昇します。

海外から輸入しているLNGの価格も当然上昇し、ガスも電気も値上がりします。


物価が上昇するのはいいことじゃないか、円安もいいことじゃないか、と思われるかもしれません。しかし、日本は今不景気真っ最中なのです。人々の賃金はこの30年間まったく上昇していないのです。

不景気におけるインフレを、スタグフレーションと言います。つまり、賃金は増えないのに、物価だけが上がっていく状況で、経済学上最低な状況です。

日本人の賃金は30年間横ばいでしたが、幸い為替が円高でデフレでしたので、何とか生活することができました。

でもその状況が終ろうとしています。


しかし国内景気は普通にやっていたら絶対によくなりません。前回書いた通り、75%が国内市場である日本経済において、人口減少は毎年1兆円規模の市場を失うほどの継続ダメージです。しかもこの継続ダメージは、日本の人口が上昇に転じるまでしつこくHPを削ってきます。


もう本当に、何とかしなくてはならないところまで来ています。

自分を、家族を、大切な人を守るために、我々もそろそろ変わっていかなくてはならないのです。


六本木オフィスからは以上です。


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