実録 現場奮闘記 相馬 マイナスから始まる現場 編

こんにちは。
倉持建設工業、東京オフィスの山﨑です。

2017年のお話になりますが、私たちは福島県相馬市にいました。
太陽光の電気工事のお仕事です。
友人からのたっての頼みで、全然利益はなかったのですが、ちょうど空いていたのでお請けすることにしました。
請けなきゃよかったぜ、と速攻後悔したけども。

現場は営農(ソーラーシェアリング)といって、太陽光パネルの下で作物を作ることで、農地でも太陽光パネルを設置できるというタイプのやつでした。
申請が結構面倒なのと、期限付きの農地転用であるため、3年に一度審査を受けなければならず、せっかく作ったのに3年後撤去と言うこともありうるということで、結構リスキーなタイプです。

まぁ、こちらは電気工事をするだけなので、それほど構えることなく工事に行きました。
あまりにも設計が雑だったので結構もめましたが、始まってからはスムーズに進みました。こちらが埋設配管を埋めている間、機械工事の人々がどんどん杭を打って、架台をくみ上げていきます。
営農型の場合、下で農業をしないといけないのでスペースが必要と言うことで、架台が低いところで2.3mもあり、高いところは4m近くあったのではないでしょうか。

それを、とび職の人だったのでしょうか。器用に架台を組んでいきます。
なんだ。この現場は結構楽勝で終わりそうだな。
そう思っていた時でした。
開発担当の会社の人が、血相を変えて現場に来ました。
その様子からただごとではありません。
どうしたのか聞いてみると、その方はこう言い放ちました。

「すまん。一回全部撤去してくれ」

え?
ごめん。
ちょっと聞こえなかった。
何?
なんて言った?

実は、営農の許可がまだ下りていなかったのです(えーっ)。
許可が下りること自体は確実だったので、どうせばれやしないと高をくくり、
見切り発車でスタートしていたのですが、

「あ、今度着工前の確認にいきますねー」

と役所の人に言われたそうです。

「そんなに真面目だとは思わなかった」

僕はこんなに不真面目な人がいるとは思わなかったよ。
とりあえず、素直に謝った方がいいのではないかと言ったのですが、
最悪許可が下りなくなるかもしれないと言うので(リスクの見積もり低すぎない?)、
せっかく作ったものを全部撤去です。

僕らは茫然と、組みあがっていた架台が解体され、打たれていた杭が引き抜かれていくのを見ていたのでした。

今まで色んながありました。つらいこと、楽しいこと、たくさんありました。でも。

「乗り込んでから杭が抜かれていく現場は初めてだな」

僕のとなりで大岩さんがぼそりとつぶやいたのでした。

東京オフィスからは以上です。


(あ、これこの後全部撤去しました。その後ちゃんと許可が下りて工事は再開し、抜かれた杭が再び打たれていくのを見る、という貴重な体験をしました。)

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