世界の流れはどこまで軌道修正されるか?

こんにちは。

六本木オフィスの山崎です。



随分ブログをさぼってしまっている間に、世界のパラダイムが相当変わったなと思っています。

2月までは一人を除いて誰もロシアがウクライナに攻め入るなんて考えてもいなかったと思います。ウクライナ侵攻が始まった時でさえ、プーチンは戦略家だ、東部の2地域を切り取って最短で戦果を挙げるつもりだ、絶対に首都攻略はない、と言われていましたが、あっさり首都に向かって進軍しました。

今度は、ロシアの兵力は圧倒的で、ウクライナ兵は弱兵だ。キエフ(今はキーウ)は3日で陥落する、と言われていましたが、結果的にはロシアはキーウをあきらめ、撤退して東部戦線に戦力を集中させている現状です。

未来予想なんてするもんじゃないなぁと思いますが、昨年末に、「世界にこれから起きると決まっていること」というブログを上げた人がいて、何を隠そう私なのですが、折角なので自分の頭の整理も兼ねて、反芻してみたいと思います。

ブログでは1~5までの予想を上げていました。決まっていること、と題した手前、かなりビビりで保身的なセレクトになっています。


1.概ね2040年までには、ガソリン車がなくなる

まず、いろいろなメディアで言われていることですが、世界中の国や地域が脱炭素を宣言し、少なくともガソリン100%の自動車の廃止を打ち出しています。欧州やカリフォルニア州などは、HV車も禁止にしていますが、中国はHVを含む広義のEV車を推進していく考えですので、この辺りはまだ流動的ですが、世界的な流れとして少なくともガソリン車は衰退していきます。

いや、まさかそんなわけないじゃん、という方がいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら、この流れは世界的なトヨタつぶしの側面もあり、かつてトヨタがフォードを王者から追い落としたように、盛者必衰の理というものでしょう。

今のところHV車は流動的、と言いましたが、エンジンの需要がモーターに置き換わるということは、エンジンへの投資が先細りということです。

いずれにしても、最終的にはすべての自動車がBEVといわれる、バッテリーのみで走る自動車に置き換わるのは、あとは時間の問題ということでしょう。

そもそも自動運転車が普及すると思われる今後の世界観の中で、これまでと同じ台数の自動車が必要かどうかは疑問符が付きます。

そもそも自動車の稼働率は3%以下と言われていますから、自動車の数自体が相当数減るだろうということは必然かもしれません。

例えるなら、昔はどの家にも畑があり、鶏を飼っていました。でも野菜や卵をスーパーで買える時代には、それぞれの家で生産するのは非効率ですね。

自動車もそういう時代に来ているということでしょう。

自動車関連の投資は、ほとんどの場合やめた方がいいでしょう。


なんだかいきなりめちゃくちゃ偉そうな事を言っていますが、世界の変化を受けて、EV化の流れはどうなるのでしょうか?欧州が風力発電の不振で電力危機を迎えたことや、戦争当初、ロシアの天然ガスに依存するドイツがウクライナ支援に消極的であったことなどから、イギリスが原発を5基(!?)新設すると言ってみたり、一時的な石炭回帰論みたいなものまで出ています。世界的な、再生可能エネルギーを主軸とした脱炭素の流れは停滞を余儀なくされるかもしれません。

しかし私は、EV化については逆に追い風になるとみています。エネルギー安全保障上、自動車が電気で動くのであれば、電力が何に由来するかは状況に応じて調整可能です。

ロシアと事を構えているときは再エネは原子力を増やし、終戦後は天然ガスや石油を増やす、という柔軟なエネルギーミックスが可能であるので、少なくとも欧州での、エネルギー消費の大きい自動車のEV化は加速するのではないでしょうか?


2.2024年度、すべての産業で残業規制が適用される

これまでなんだかんだお目こぼしされていた残業規制が、2024年度から全産業で適用されます。週45時間以上の残業はできなくなり、そんなこと言ったって忙しいときはそのくらいしょうがねぇよ、俺たちのころはなぁ、とか言ってる経営者は相当厳しくなってきます。

実際問題、これは買い手というよりも、売り手のマインドの問題で、残業規制が当たり前の世界線で、誰が残業当たり前の業界に入りたいというのでしょうか?

就業者のマインドは如実に変化していて、日本でも米国でも欧州でも、コロナが収束しても飲食店で働く若者たちは帰ってきません。今の若者は就労に社会的意義を求める傾向が強いとされています。

あらゆる経営者は、若者にどういう社会的意義を与えられるかを、45時間の残業時間の範囲で真剣に考えていかなくてはいけません。

従業員に対してブラックな残業を強いるような会社は、市場から淘汰されていくでしょう。


うーん、なかなか難しくなってきましたね。残業規制は、撤廃されますが、企業がちゃんとこれを守るかどうかは不透明な状況になってきています。

小麦の市場供給量の1位と5位のロシアーウクライナ戦争を受けて、特にまったく作付けが出来ていないというウクライナの状況から、今後の食糧相場は高止まりしていくことでしょう。またエネルギー価格も高値圏での推移を続ける公算で、インフレはまったなしです。ましてや世界的にコロナ規制が撤廃される流れになっていて、むしろモノやエネルギーの需要は増えるというのに、です。

ハト派と言われたアメリカの連邦準備銀行(FRB)すらタカ派に転身。年内に0.50%の利上げは避けられないような状況です。

それを受けて、世界的に金利が上がり30年ほど続いた低金利時代が終焉を迎えつつあり、昨日デフォルトしたスリランカのように、債権の返済ができない新興国が相次ぐでしょう。

つまり、すごい不景気、しかも物価は上がっていくのに企業業績は不振で給料は上がらないという、最悪の不景気、スタグフレーションという教科書でしか見たことがないような不景気が起こる(あるいはすでに起きている)公算が高く、ブラックだのホワイトだの言っている状況ではなくなるような予感すら・・・。



3.2023年度、インボイス制度が始まる

2023年度から、インボイス制度が始まります。消費税増税の際にうっかり成立した法律で、これまで消費税が免税であった売上1千万以下の事業者にとっての実質増税です。

売上1千万以下の事業者は、これまで免税事業者でしたが、2023年度以降は、その道はいばらの道です。

消費税はお客様から頂く預かり消費税から、支払いの際に支払った支払消費税を控除した額を国庫に納めるのですが、取引先が免税事業者の場合、この控除が無効になります。

つまり、免税事業者が納めるべき消費税は、支払う側が負担する形になるので、まともな経営者であれば、免税事業者との取引はしないでしょう。

建設業界では特に、長く一人親方と呼ばれる小規模事業者が大量に存在することが問題視されていました。

一人親方は、今後は企業と個人事業主として契約することが厳しくなり、従業員としての雇用が促されるのではないでしょうか。


これは影響なく進むと思います。デジタル庁にはがんばってほしいですね。ところで野党の人たちが、1000万未満の少額の売上の人は弱者なので消費税を取るのはおかしい、と言っていますが、1000万未満でも小さな商店など一般消費者が顧客の仕事は実質的に対象にならないですし、そもそもこの国ではお年寄りも子供も生活保護受給者でも、何かを買うときには消費税を支払っています。

その預かり消費税を国庫に戻すことがどうして弱者いじめになるのか、ちょっとよくわからないですね。


4.日本人の人口は本当にびっくりするくらい減る

日本人は減り続けています。2004年をピークに一貫して減り続けており、2050年には1億人を割ります。高齢化率も4割に達し、働ける人の数は概ね人口の半分となります。

人口政策は、本当に時間のかかる政策で、100年単位の時間が必要となります。40年ほど前に、食料やエネルギー不足の危機感から日本政府が子供の数の減少を促したのですが、言ってもしょうがないことです。

先進国はいずれすべての国が直面する問題です。

2100年には日本人は5000万人を割ります。

世界人口は100億を超えるというのに、です。

しかし世界人口も100億がピークと言われています。

結局誰しもが興亡を繰り返すのでしょう。

マス(圧倒的多数)に対しての商売はすべてがうまくいかなくなるでしょう。それが日本語発信であればなおさらです。

80年後に人口が3分の1になるというゲームなのです。市場規模も、購買意欲も、供給さえも、3分の1になると考えた方がいいでしょう。

国内のマスに向けての商売はすべてダメになります。個人最適(パーソナライズ)した商売か、海外市場に向けての商売か、できればその両方が必要になるでしょう。


う~~~~~~ん、どうなんでしょうね。いや、人口は減ることは誰にも変えられないし変わらないですが、グローバル化がどうなるかはちょっと読みづらくなってきましたね。次の項の予想ともかぶる話になりますが、大国の覇権争いが再び武力を交えたものとなる可能性が出てきて、加えて今回西側がロシアをSWIFTという金融決済の仕組みから締め出したため、中国の決済システムに参加する公算もあり、そうなれば世界が二つ以上のグローバル経済で分断されるという未来になる可能性すらあります。

え?そんなことある?と思われるかもしれせんが、戦前のウクライナがそうであったように、EUとロシアに挟まれた地域の国々は、どうしてもロシアに経済的に依存せざるを得ません。衰えたりとはいえそれでも東欧では大きな経済的ポジションを持つのです。

ベラルーシなど、ロシアと一蓮托生な国なども存在しますし、破綻したスリランカなどは中国への債務が巨大すぎてもうどうすることもできないと思います。

もう一つ(以上の)経済システムが誕生することはあり得ると思います。

ポスト世界大戦と呼ばれた長い平和な時代が、実はどでかい戦間期であった可能性も出てきていて、最近は民主主義 VS 権威主義などと言われたりしますが、本当、どうなるのでしょうか?

いや、投げやりで申し訳ないのですが、こればかりはもう分からないとしか。。。

ただ、日本のマス向けの商品はもうだめという部分は変わらないと思います。パーソナライズされたストレスフリーな商品か、海外訴求力の強い商品となると思いますが、う~ん、海外でもどこ向けの商品を開発するかは、分からなくなってきましたね。

例えば米国では、情報、通信などの重要分野において中国企業との契約が禁止されていますが、米中が米ロみたいになってきたら、日本もそういうことをせざるを得ないかもしれません。

え?米中でそんなこと起こらないって?

もちろんそんなこと起こってほしくはないですが、もう何が起こってもおかしくないと私は思います。


5.日本はだんだん普通の国になる


GDP(国内総生産)においても、日本は世界から置いていかれます。しかし、これは盛者必衰の流れとも言えます。

世界のかじ取りは、新興国にゆだねられていくでしょう。

2030年にインドは日本のGDPを追い抜きますが、アメリカもまたその王者の座を中国に明け渡します。

かつて、イギリスの王位を奪ったアメリカといえど、その繁栄が永遠に続くものではありません。

2050年には、インドネシア、メキシコ、ブラジルも日本を追い抜いていきます。これはもう決まっていることです。戦争も起こさなくては覆せませんが、おそらくそんなことにならないでしょう。

日本に住むすべての人々が今と同じ水準にとどまることはできません。

しかし、今後振興する国々を無視することは、絶対にしてはならないでしょう。

むしろ、米中に対しての態度が微妙で、日本に対して親日的なこれらの新興国への投資を怠ることは、企業にとっての明暗を分けるでしょう。


これ。

この予想が問題ですね。

結構危ういです。ぶっちゃけ私、低金利時代がまだまだ続くと思っていたので、地政学リスク一発どーんでここまでアメリカの金融的な状況が変わるとは思っていませんでした。

金利が上がると対外債権の大きい国ほど有利になるので、あながち日本にとっては悪い話でもありません。あ、日銀は金利が1%あがるとバランスシートが焼け焦げると言われているので、日本の銀行はやばいと思いますけど。

で、何が問題かというと、覇権争いが再び武力を選択肢として持つ時代になったときに、核を保有していない国は結構大変だと今回気づかされました。

今回ロシアは、外国資本の旅客機を接収したり、ロシアから撤退した企業のロシア国内の資産を接収したりとやりたい放題ですが、経済制裁以外にはできることがありません。

仮にロシアが核を持っていなければ、NATOや米国はとっくに武力介入しているかもしれません。

逆に言えば、核の傘の下にいない国が核保有国から戦争を仕掛けられても、相互破壊確証(一発でも核を打ったら報復で核の打ち合いになってどっちも滅びるから、誰も一発目の核なんて打たないよね?そうだよね?という謎の信頼)から、今回のように他の核保有国は傍観するしかないという事態になりかねません。

じゃあNATOなどの同盟に加盟ラッシュが起きそうなのものですが、そういった同盟も、他の核保有国との間には緩衝地帯を設けて不慮の事故を防ぎたいので、なかなか加盟承認に至らないでしょう。

ウクライナに住む人々には大変申し訳なく思いますし、連日のニュースには本当に憤りを感じますが、残念ながらNATOはロシアの隣国であるウクライナやジョージアをNATOに加盟させることはないと思います。

バイデン大統領は、NATOの同盟国のどの国の領土が侵された場合も、絶対に反撃すると明言したので、少なくとも紛争当事国はNATOには加盟できません。


また、先ほど言及したように異常な金利上昇が今後見込まれており、低金利で資金調達して経済成長を続けてきた新興国には試練が訪れることになるかもしれません。

どの国も他国を支援する余裕はないと思われ、世界の経済的成功者の版図は、またもや変更されるかもしれません。




いろいろ書きましたが、倉持建設工業としてできることはそんなに多くありません。

目の前の仕事に精一杯向き合っていきたいと決意を新たにした次第です。


六本木オフィスからは以上です。


山﨑

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